
先日 〈にっぽんの芸能〉という番組で歌舞伎の坂東玉三郎さんが仰った言葉が、あまりに深くて良いと友人がわざわざ映像から文字おこしをしてメールして来てくれました。
『なんのために積み上げたかっていうと、60過ぎた女方が、20歳前後の役をやるための積み上げなんです。仕草じゃなくて自分の中を一瞬若い女が通過するかっていうことを、開いてから引っ込むまでやってかなきゃいけないんです』
以前も感じた事なんですが、玉三郎さんの芸能に対する謙虚さに感心したことがあります。
敬いにも似た精神性です。
台詞であったり、踊りであったり、型でとらえた所作に至るまで。
続きます。
『もしかしたら10秒の積み上げは10年かもしれない。ウソがばれない1分間を過ごすには何十年か積み上げてきたのかもわからないんです。
あまりにも演技、あるいは細かいこと、積み上げたことが見えないところまでやらなければならないんです』
生きる言葉だなぁとぼんやりして、ストーブの切れた部屋でひんやりした足首の冷たさにはっとしました。
一流の人の言葉は力を持っています
(画像お借りしました)